アリスがパズルを完成させると、とつぜん視界が白におおわれました。 アリスは思わず目を閉じてしまいます。
そして次に目を開けると、そこは白うさぎがいた庭ではなく、真っ白な世界。 前も後ろも、右も左も、さらには上や下ですら真っ白です。 でもその中に、黒い猫が一匹。
「クリアおめでとう、アリス。ぼくはこの世界を作った神さま。さっきのパズルはごめんね?出すのを間違ってたよ」
神さまだという黒猫は、まったく悪びれもせずにアリスに話しかけます。
「はじめまして、えーと、神さまさん?もしかして神さまが私を?」
「うん、そうだよ。神さまってひまなんだよ。何もすることがないんだもん。あのうさぎに頼んできみをつれてきてもらったんだ。ぼくの世界を楽しんでくれそうな、きみをね」
「わたしの知ってる神さまとは違うのね。あの神さまは誰にも会ったりしないもの。あなたみたいに面白い神さまは好きよ。つれて帰りたいくらい」
「そう、そのことできみに話があるんだ。きみは本当に、きみの世界に帰りたいかい?」
アリスはくろねこの言っていることがよく分かりませんでした。家はぜったいに帰らないといけないところ。そうじゃないのでしょうか。
「なんの不思議のない、あの世界に?この世界ならたくさんの不思議なことがある。それにぼくは神さまだ。飽きたら別の世界を作ることだってできる。
もしきみが元の世界に戻りたいと思うなら、きみのパパの名前を呼べばいいさ。別の世界でも、あの人ならページを戻してきみを連れ戻すことくらいできるだろうさ。でももし、ぼくと一緒に暮らしたいならぼくの名前を呼んでよ。楽しい世界で、ずっと遊んで過ごさないかい?」
アリスは選ばなければならないようです。元の世界に戻るのか。くろねこと一緒に不思議の世界で暮らすのか。